今回は実際に発達障害と診断された人に文章を書いてもらっています。
発達教育学からの観点での考察も大事ですが、教育は受ける人がいて初めて成立するものなので、
受ける人のことを考えるきっかけになれば幸いです。
原文をそのまま載せさせていただきますので、少しつたないところがありますが、ご了承ください。
以下本人の文章です。
発達障害(ASD)の私が中学受験を経て感じたこと3選
“私はASD(自閉症スペクトラム)持ちの現役大学生です。平成23年度の受験で某私立中高一貫校へ入学。高校2年のときに発達障害(ASD)と診断されました。
この記事では主に私が中学受験を経て不登校になり、高校を卒業するまでの経緯とそれについてどう感じたかを書いています。
また発達障害(私がASD当事者なのでその目線からになります)を持っている学生の勉強についても少し触れています。”
1、~幼少期から小学校時代について~
教育熱心な両親に育てられたので勉強は人並み以上にできた子供でした。
そろばん教室や水泳、英語のレッスンなど習い事も多くしていました。
小学校時代から人とコミュニケーションをとるのが苦手で、勉強ができたのが自分にとっての数少ない取り柄だったのかもしれません。
2、~中学受験期の勉強について~
塾は浜学園に通っていました。小学6年生の夏前から本格的に勉強を始めて、一日12時間ほど塾の教室にいたこともあります。
私は算数が苦手だったので、とにかく計算問題(+-×÷の四則演算)に一生懸命取り組みました。
問題のパターンや概念を理解するのは苦手ではなかったです。(具体的に言えばつるかめ算、ニュートン算など)
複雑な計算になるとケアレスミスも多く大変でした。
今思えばこれは「たくさんの情報を処理するのが苦手」といったASD固有の特性のせいだったのかもしれません。
3、~不登校だった中学時代~
試験ではあまり緊張せず、普通に問題も解けて無事合格しました。中の上ほどのレベルの学校です。
大学進学実績でいうと半分弱がいわゆる難関国公立へ進学しています。
しかし授業のペースがとても速く、ついていくのにも一苦労。
きちんと理解していないのに授業がどんどん進んでいくことに強いストレスを感じました。
さらに同級生とトラブルを起こし、学校へ通うことすら怖くなってしまいました。
結果、中学2年の秋頃から不登校になり、中学卒業後も付属の高校へは進学しませんでした。
4、~通信制高校時代~
試験なしで入学できる通信制高校へ入学。スクーリング授業のときだけ学校に通っていました。
心療内科でASDと診断されたのもこの時期で、ショックでしたが「やっぱりな」と納得する気持ちもありました。
不登校気味になることもありましたが、なんとか単位を取得して卒業することができました。
5、感じたこと(まとめ)
①.発達障害の子に中学受験は向かない
これは痛切に感じました。発達障害は名前の通り発達に凸凹がある障害なので、周囲が普通にできることが大変だったりします。
特に周りの同級生も優秀なので、私は勉強ができない自分を責めてしまいとてもつらかったです。
また進学校特有の競争が嫌いなマイペースな子も多いと思います。
私は中学受験はなんとか切り抜けられましたが、その後の大切な中学校生活で頑張れなくなりました。
仮にあの時だましだまし通えたとしても、いつかは耐えられなくなる時が来たと思います。
6、感じたこと②好きな(得意な)科目を大切に
私は国語がとても得意でした。国語の教科書やテストの文章を読むのが好きで、国語の授業の間はつらい学校生活も少し忘れられました。
好きな科目が一つでもあれば、心の支えにもなるものです。
7、感じたこと③周りを気にせず分かるまでとことん突き詰めよう
発達障害(特にASD)を抱えている人は完璧主義なところがあって、その部分は勉強に生かすことができると感じています。
特に理数系の科目は国語のような曖昧さがなく、きちんと定義や公式に従えば正しい答えを得ることができます。
「きちんと丁寧に自分のペースで解く」という作業は発達障害の特性にもフィットしている気がします。
周りを気にせずとことん考えて勉強するという習慣が身につけば、自然と勉強も好きになれると思っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました!”